鍼灸医学の懐

黄帝内経の意訳と解説 最後に原文と読み下しを記しています。

四気調神大論(二)- 冬・生活の要点(6)

 冬の過ごし方のポイントは、図のようにすべてが内に入って鎮まるという
ことです。

 冬・蔵・鎮静

  人間は、陽気が無くなると代謝が落ちて死亡してしまうので、人体は
陽気の存亡、特にこの寒気には敏感です。
 東洋医学には、独特の脈診術があるのですが、夏は皮膚面の浅いと
ころで拍動を察知出来るのですが、冬は少し深いところで拍動するよう
になります。
 体表もまた、夏は発汗しているため触れると冷たく感じますし、冬は暖
かく感じられます。
 冷え症の方などが、芯から温まろうとして岩盤浴やサウナなどに頻繁
に入っておられますが、発汗を促すので、その後は却って身体が芯から
冷えるので注意が必要です。
 加えて、冷飲料なども摂りがちなので、陽気が内外から深刻に傷害さ
れます。
 冬の入浴は、無理して温まろうとするよりも、気持ち良く温まったらそれ
で良しとする程度にするのがよろしい。
 また入浴後、暖房をつけてこたつに入り、夏のような環境を作ってアイ
スなどを食べるようなことをすると、風邪を引きやすくなったり、立春を過
ぎたあたりから、図のように気の流れの方向が変化するので花粉症の症
状も出やすくなります。

 春上昇
  一般的に健康に良いイメージのある、野菜・果物ジュース。100%表示
の有無に関係なく身体の陽気が傷つきますので、このような日本人にとっ
ては不自然なものは口にしないことが賢明です。
 肉体的には、陽気の温存。
 心持的には、ひそやかにです。
 
では、原文の意訳です。
 
 冬の季節、すなわち立冬から立春までの3ヶ月を閉藏(へいぞう)と
称し、この季節はすべてのものが活動を低下させる時期である。虫も
カエルも熊も土中に潜り、秋に収穫した穀物は蔵にしまい込まれ、草
木もまた葉を落とし静かに春を待つ季節である。
 自然界は寒気が支配するので、水は凍りつき大地は亀裂が生じる。
このような時期は、激しく動いて発汗するなどして自分の身体の陽気
を乱すようなことがあってはならない。
 この時期は、早寝遅起きし、必ず太陽の陽気が天地に生じ始めて
から起きるようにする。
 精神的には、積極的・能動的になるよりも、むしろ思ったり考えたりし
たことを隠したりしまい込むような、また望み事や欲しいものがあって
も、既に望み事が叶っている・手に入っているかのように満ち足りた気
持ちで過ごすのがよい。そして内部に秘めるような、内に向かうような
心持で過ごすのが理に適っている。。
 肉体的には、寒さを避けて保温に心掛け、労働や運動などによって
皮膚から汗を発し、陽気を奪う(漏らす)ようなことがあってはならない。
 つまり、種のように堅く殻を閉じ、春の発芽に備えて精気を内部に充
実させるのが、冬季の過ごし方の法則である。
 このような冬の気を無視すれば、腎の臓を傷る。その結果、春になっ
ても発芽しない種のように、中がスカスカになってしまっているので、人
もまた手足が冷える上に、萎えたり、軟弱で力が入らず、場合によって
は自由に歩けなくなるなる痿厥(いけつ)という病になるのである。
 このようになってしまうと、ほとんどの人が、春になって、再び伸び伸
びと生命エネルギーを発生することが出来ないのである。
 原文と読み下し 
冬三月、此謂閉藏.水冰地.無擾乎陽.早臥晩起.必待日光.使志若伏若匿.若有私意.
若已有得.去寒就温.無泄皮膚.使氣亟奪.此冬氣之應.養藏之道也.
逆之則傷腎.春爲痿厥.奉生者少.
冬三月、此を閉藏と謂う。水は冰り地は(さ)。陽を擾(みだ)すことなかれ。早く臥し晩く起き、必
ず日光を待つ。
志しをして伏すが若く匿(かく)れるが若く、私意有るが若く、已(すでに)に得るところ有るが若くす。
寒を去り温に就き、皮膚を泄し氣をして亟(しば)しば奪せしめること無かれ。此れ冬氣の應、藏を
養うの道なり。
これに逆えば則ち腎を傷る。春に痿厥(いけつ)を爲なす。生を奉ずる者少なし。

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