鍼灸医学の懐

黄帝内経の意訳と解説 最後に原文と読み下しを記しています。

四気調神大論(二)- 春・生活の要点(2)

 いよいよ四気調神大論の内容に踏み込んで参ります。
 
 前回、四季は四気に通じて春夏秋冬それぞれ特有の気の動きがあるの
だとお話しました。

 1年の気の変化は、1日についても同じことが言えます。

 春―朝、夏―昼、秋―夕方、冬―夜、ということです。

 四季の過ごし方は、1日の過ごし方にも通じるという視点が大切です。

 東洋医学では、部分は全体の反映であり、全体は部分の反映という視
点を持つからです。この視点は、人体を認識する時にも用います。いずれ
触れることになるので、ここでは深く追求しません。

 万物は、図のように天の気に支配されます。

四季と三才図.png




人もまた天の気の変化によって、行動・服装・食事内容・精神状態、
そして身体の気の状態も大きく変化します。
 これを書いている季節はちょうど大寒の冬です。(2014120日)
今年は24日が立春なので、自然界の気の変化と、ご自身の身体の
変化をよく観察してください。詩的にしか表現のしようのない、なにかを
感じられるはずです。
 全文は長くなりますので、いくつかに区切って書き進めます。
図をご覧頂いて、春の気をよくイメージしながら読み進めてください。


春上昇








まず、春の過ごし方の意訳から。

 春の季節、すなわち立春から立夏までの3カ月を発陳(はっちん)と称し、
この季節はまるで種から芽が出るように、気が徐々に発生し始める季節で
ある。私たちの感覚としては、冬の寒気が緩み、物事が始まる予感を感じさ
せ、自然と悦びを感じる時期である。

自然界の天地の気の交流も活発になり始め、動植物をはじめ、すべての
ものが息を吹き返したかのようにうごき始める季節でもある。
 この時期の太陽の動きに応じて、人間もまた早寝早起きして庭に出て、
歩幅を広くしてゆったりと歩くのが良い。

 身体的には、髪の毛を解きほぐし、服装もゆったりとして身体を緩めるの
が良い。

 精神的には、今年はこれをやろう・あれもやろうと、やる気を起こすのが
良く、心持としては何事も生まれよう・伸ばそうとするのは良いが、制限を
加えるのはよろしくない。またやる気を育てようとするのは良いが、やる気
が失せるようなことは思うべきではない。

人に対しても、褒めたり励ましたりすることは良いが、虐げたり罰したり
することのないように心掛けるのが良い。

春の気というものは、「生まれる」「始まる」という気が自然界を支配
するのであるから、人間も同じように、この自然を支配する「伸ばそう」
「育てよう」とする春の気に応じた起き臥し・身なりや服装・動作・心持で
いることが、自然の理に適ったことなのである。

もし、この自然界の法則に逆らって生きれば、肝の臓を傷ることになる。
そうなってしまうと、次にやって来る夏になってから、炎暑での季節であ
るのにもかかわらず、身体が冷えっぽくなってしまう病になる。

春の過ごし方の誤りは、ひと季節遅れて夏に現れてくるのだ。

 そうなってしまった者は、夏の盛んに伸ばそうとする、成長の気を受ける
ことが出来なくなる人がほとんどである。
                 春シリーズはもう少しつづく
 
原文と読み下し
春三月.此謂發陳.天地倶生.萬物以榮.夜臥早起.廣歩於庭.被髮緩形.以使志生.生而勿殺.
予而勿奪.賞而勿罰.此春氣之應.養生之道也.
逆之則傷肝.夏爲寒變.奉長者少.
春三月、此を發陳と謂う。天地倶に生じ、萬物以って榮える。夜臥して早く起き、廣く庭を歩く。髮を被(おお)い、
形を緩め、以って志しを生じせしめる。生かして殺すこと勿れ。予えて奪うこと勿れ。賞めて罰すること勿れ。
此れ春氣の應、養生の道なり。
これに逆えば則ち肝を傷る。夏に寒變を爲す。長を奉ずる者少なし。
新ロゴ鍼灸院.jpg