一年の内の四季は、四時の気として陰陽の割合が変化することは、これまでに繰り返し述べられてきました。しこれを陰陽の消長と称するのですが、この1年の陰陽の消長法則は、1日の陰陽法則にも当てはまり、さらに人体もまた、同一の法則で消長するのだと説いています。
この概念は、とても有用で必須です。
また次第に陽気が衰えて行く日中から夕方の黄昏までは、天の気は、陽中の陰であります。
体幹部について言えば、背は陽であり、腹は陰であります。
これは、陰陽の属性関係で述べたものでありますので、よく認識なさって下さい。
。
五味では苦味、熱く燃える様子から火に相当し、家畜では陽気の強い羊であり、穀物では黍、四時に対応する天の星回りは火星であります。心の病は、脈に在ることが分かります。
五音は徴、成数は七、その臭いはこげ臭いのであります。
五音は宮、成数は五、その臭いはかんばしいのであります。
五音は商、成数は九、その臭いはなまぐさいのであります。
五音は羽、成数は六、その臭いはくされ臭いのであります。
これらのことは、基本でありますので、すべて暗記して自由に使えるようにしておくべきです。
平旦至日中.天之陽.陽中之陽也.
日中至黄昏.天之陽.陽中之陰也.
合夜至鶏鳴.天之陰.陰中之陰也.
鶏鳴至平旦.天之陰.陰中之陽也.
故人亦應之.
故に曰く、
陰中に陰有り、陽中に陽有り、
平旦から日中に至るは、天の陽、陽中の陽なり。
日中から黄昏に至るは、天の陽、陽中の陰なり。
合夜から鶏鳴に至るは、天の陰、陰中の陰なり。
鶏鳴から平旦に至るは天の陰、陰中の陽なり。
故に人もまたこれに應ず。
言人身之陰陽.則背爲陽.腹爲陰.
言人身之藏府中陰陽.則藏者爲陰.府者爲陽.
肝心脾肺腎五藏.皆爲陰.膽胃大腸小腸膀胱三焦六府.皆爲陽.
夫れ人の陰陽を言えば、則ち外は陽と為し、内は陰と為す。
人身の陰陽を言えば、則ち背は陽と爲し、腹は陰と爲す。
人身の藏府中の陰陽を言えば、則ち藏なる者は陰と爲し、府なる者は陽と爲す。
肝心脾肺腎の五藏、皆陰と爲す。膽胃大腸小腸膀胱三焦の六府、皆陽と為す。
爲冬病在陰.夏病在陽.
春病在陰.秋病在陽.
皆視其所在.爲施鍼石也.
陰中の陰、陽中の陽なる者を知らんと欲するゆえんのものは、何なるや。
冬に為す病は陰に在り。夏病むは陽に在り。
春病むは陰に在り。秋病むは陽に在り。
皆其の在る所を視て、鍼石を施すと爲すなり。
腹爲陰.陰中之陰.腎也. 腹爲陰.陰中之陽.肝也.
腹爲陰.陰中之至陰.脾也.
此皆陰陽表裏.内外雌雄.相輸應也. 故以應天之陰陽也.
故に背は陽と爲し、陽中の陽、心なり。 背は陽と爲し、陽中の陰、肺なり。
腹は陰と爲し、陰中の陰、腎なり。 腹は陰と爲し、陰中の陽、肝なり。
腹は陰と爲し、陰中の至陰、脾なり。
此れ皆陰陽表裏、内外雌雄、相輸して應ずるなり。故に以って天の陰陽に應ずるなり。
岐伯曰.有.
東方青色.入通於肝.開竅於目藏精於肝.其病發驚駭.
其味酸.其類草木.其畜鶏.其穀麥.其應四時.上爲歳星.
是以春氣在頭也.其音角.其數八.是以知病之在筋也.其臭醒.
帝曰く、五藏は四時に應じ、各々收受有りや。
岐伯曰く、有りと。
東方青色、入りて肝に通ず。目に開竅し精を肝に藏す。其の病、驚駭を発す。
其の味は酸。其の類は草木。其の畜は鶏。其の穀は麥。其の四時に應ずるや、上は歳星と爲す。
是を以って春氣は頭に在るなり。其の音は角。其の數は八。是を以ってこの病は筋に在るを知るなり。其の臭は醒。
其味苦.其類火.其畜羊.其穀黍.其應四時.上爲熒惑星.
是以知病之在脉也.
其音徴.其數七.其臭焦.
南方赤色。入りて心に通ず。耳に開竅す。精を心に藏す。故に病、五藏にあり。
其の味は苦。其の類は火。其の畜は羊。其の穀は黍。其の四時に應ずるや上は熒惑星となす。
是を以って病は脉に在るを知るなり。
其の音は徴。其の數は七。其の臭は焦。
其味甘.其類土.其畜牛.其穀稷.其應四時.上爲鎭星.
是以知病之在肉也.
其音宮.其數五.其臭香.
中央黄色。入りて脾に通ず。口に開竅す。精を脾に藏す。故に病は舌本に在り。
其の味は甘。其の類は土。其の畜は牛。其の穀は稷。其の四時に應ずるや、上は鎭星と爲す。
是を以って病の肉に在るを知るなり。
其の音は宮。其の數は五。其の臭は香。
其味辛.其類金.其畜馬.其穀稻.其應四時.上爲太白星.
是以知病之在皮毛也.
其音商.其數九.其臭腥.
西方白色。入りて肺に通ず。鼻に開竅す。精を肺に藏す。故に病は背に在り。
其の味は辛。其の類は金。其の畜は馬。其の穀は稻。其の四時に應ずるや、上は太白星と為す。
是を以って病は皮毛に在るを知るなり。
其の音は商。其の數は九。其の臭は腥。
其味鹹.其類水.其畜彘.其穀豆.其應四時.上爲辰星.
是以知病之在骨也.
其音羽.其數六.其臭腐.
北方黒色。入りて腎に通ず。二陰に開竅す。精を腎に藏す。故に病は谿に在り。
其の味は鹹。其の類は水。其の畜は彘。其の穀は豆。其の四時に應ずるや、上は辰星と爲す。
是を以って病は骨に在るを知るなり。
其の音は羽。其の數は六。其の臭は腐。
非其人勿教.非其眞勿授.是謂得道.
故に善く脉を爲す者は、謹しみて五藏六府を察っし、一逆一從。陰陽表裏雌雄の紀。これを心意に藏し、心に精を合っす。
其れ人にあらざれば教えることなかれ。其れ眞にあらざれば授けることなかれ。是れ道を得ると謂う。