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鍼灸医学の懐

黄帝内経の意訳と解説 最後に原文と読み下しを記しています。

陰陽応象大論(五) - 大宇宙と小宇宙(16)

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 前回は、東洋医学の診察法の基本中の基本について述べられていた。

 前回の流れを引き継ぎ、今回はもう少し具体的に治療法の考え方を述べている。

 さっそく本文に入ります。


原 文 意 訳

 病が起こったばかりの初期においては、刺法を施せば直ちに癒えるものである。

 病勢が盛んになってしまってからでは、刺法を施しつつ次第に病勢が衰えるのを観察しながら治癒に導くのである。

 病邪の侵入が浅く程度が軽いようであれば、発揚して散じ、邪気の重さと正気の兼ね合いを計りながら病邪を減じ、病勢が衰えてくると、鍼の効果がはっきりと彰(あきら)かとなるのである。

 身体の気が虚しているものには、温めて気虚を補い精血が不足しているものには、飲食物の五味でこれを補うようにする。

 病が上焦にあるものは、さらに上方へ発揚させ、下焦にあるものは、さらに下に引いて邪が尽きるようにする。中焦に邪気が充満するものは、直接臓腑に瀉法を加える。

 その邪気が比較的深い場合は、薬湯に体を漬けて発汗させ、邪気が比較的浅い皮にあれば、発汗法を用いて発散させるのである。

 その病状の進展が速く、病勢が激しいものであっても、症状に動揺することなく落ち着いてじっくりと対峙して考え、間違いのないように収めるのである。
 
 正気はまだ傷害されておらず、邪気が盛んであるものは、散じることでこれを瀉すのである。

 その際には、陰陽をはっきりと審らかにし、その上で剛柔・虚実を別け、陽病は陰を治療し、陰病は陽を治療する。

 そして血気の状態が安定してくれば、正気はそれぞれ本来の臓腑・経絡をしっかりと守るようになる。

 血が充満して苦しむようであれば、あふれる寸前の川の堤を切るように瀉血し、気が虚していれば、気が漏れたり散じてしまわないように、補法を加えて引き締めるのである。


原文と読み下し



故曰.
病之始起也.可刺而已.
其盛可待衰而已.
故因其輕而揚之.因其重而減之.因其衰而彰之.
形不足者.温之以氣.精不足者.補之以味.

故に曰く、
病の始めて起るや、刺して已すべし。
其の盛んなるや衰うを待ちて已すべし。
故に其の輕ろきに因りてこれを揚げ、其の重きに因りてこれを減じ、其の衰うに因りてこれを彰かにす。
形不足する者は、これを温たむるに氣を以ってし、精不足する者は、これを補うに味を以ってす。

其高者因而越之.其下者引而竭之.中滿者寫之於内.
其有邪者.漬形以爲汗.其在皮者.汗而發之.其慓悍者.按而收之.
其實者散而寫之.
其の高き者は因りてこれを越し、其の下なる者は引きてこれを竭(つ)くす。中滿なる者はこれを内に寫す。
其れ邪有る者は、形を漬け以って汗と爲す。其れ皮に在る者は、汗してこれを發す。其の慓悍なる者は、按じてこれを收む。
其の實なる者は、散じてこれを寫す。

審其陰陽.以別柔剛.陽病治陰.陰病治陽.
定其血氣.各守其郷.血實宜決之.氣虚宜掣引之.

其の陰陽を審びらかにし、以って柔剛を別ち、陽病は陰を治し、陰病は陽を治す。
其の血氣定まり、各おの其の郷を守り、血實すれば宜しくこれを決す。氣虚すれば宜しくこれを掣引す。

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