鍼灸医学の懐

黄帝内経の意訳と解説 最後に原文と読み下しを記しています。

陰陽応象大論(五) - 大宇宙と小宇宙(7)

四季と三才図.png


 原 文 意 訳

 南方は、昇った朝日の陽気が最も盛んで熱化するので、熱を生じるのである。熱せられると燃えやすくなるので火を生じ、火は苦味の灰土を生じる。

 苦味は心に入って心の陰気を養って血を生じ、血は脾気を生じるのである。そして心は脾気の状態が現れる舌を主る。

 これらのことは、天にあっては熱であり、地においては火であり、これを人体にあてはめると常に気血が流れている脈であり、臓においては拍動を自覚できるくらい陽気の強い心であり、色では火熱の赤色であり、音階では徴、声の調子は笑、心の大きな変動は憂、九竅では舌、心に入る味は苦、気が向かう方向である志は喜である。

 喜は激しく気がのぼり陽気を発散して心を傷るが、恐れは気を鎮め降し、冷静にさせるので心を制御する。

 激しく変動する熱は、気を傷るが、寒気は熱気を制御する。

 過剰な苦味は固める作用があるので心気が伸びず障害されるが、潤し柔らかくする鹹味は、苦味を制御するのである


 日中から黄昏までは、最も湿気の多い時期である。湿は大地である土を育成し、大地から生じた食物はすべて甘味を含んでいるので、甘味は土より生じるのである。

 甘味は脾の陰気を養い、脾は肉体を養う。充実した肉体によって肺気が生じ、脾は、肺気の状態が現れる口を主る。

 これらのことは、天にあっては湿であり、地においては土であり、これを人体にあてはめると肉付きの状態であり、臓においては脾であり、色では黄色であり、音階では宮、声の調子は歌、心の大きな変動は噦(えつ=しゃっくり)、九竅では口、脾に入る味は甘、気が向かう方向である志は思である。

 思は気が一ヶ所に停滞して脾を傷るが、怒は激しく気を動かして上昇させるので脾を制御する。

 湿はベトベトして気を停滞させるので肉体を傷害するが、風気の動かし・運ぶ働きによって乾かされるので、風は湿を制御する。

 甘味は緩める作用があるので肉体はだらりとして重くなるが、酸味の収斂作用によって引き締めるので、酸は甘を制御するのである。

 原文と読み下し

南方生熱.熱生火.火生苦.苦生心.心生血.血生脾.心主舌.
其在天爲熱.在地爲火.在體爲脉.在藏爲心.在色爲赤.在音爲徴.在聲爲笑.在變動爲憂.在竅爲舌.在味爲苦.在志爲喜.
喜傷心.恐勝喜.熱傷氣.寒勝熱.苦傷氣.鹹勝苦.
南方熱を生じ、熱は火を生じ、火は苦を生じ、苦は心を生じ、心は血を生じ、血は脾を生じ、心は舌を主る。
其れ天に在りては熱と爲し、地に在りては火と爲し、體に在りては脉と爲し、藏に在りては心と爲し、色に在りては赤と爲し、音に在りては徴と爲し、聲に在りては笑と爲し、變動に在りては憂と爲し、竅に在りては舌と爲し、味に在りては苦と爲し、志に在りては喜と爲す。
喜は心を傷り、恐は喜に勝ち、熱は氣を傷り、寒は熱に勝ち、苦は氣を傷り、鹹は苦に勝つ。

中央生濕.濕生土.土生甘.甘生脾.脾生肉.肉生肺.脾主口.
其在天爲濕.在地爲土.在體爲肉.在藏爲脾.在色爲黄.在音爲宮.在聲爲歌.在變動爲噦.在竅爲口.在味爲甘.在志爲思.
思傷脾.怒勝思.濕傷肉.風勝濕.甘傷肉.酸勝甘.
中央濕を生じ、濕は土を生じ、土は甘を生じ、甘は脾を生じ、脾は肉を生じ、肉は肺を生じ、脾は口を主る。
其れ天に在りては濕と爲し、地に在りては土と爲し、體に在りては肉と爲し、藏に在りては脾と爲し、色に在りては黄と爲し、音に在りては宮と爲し、聲に在りては歌と爲し、變動に在りては噦と爲し、竅に在りては口と爲し、味に在りては甘と爲し、志に在りては思と爲す。
思は脾を傷り、怒は思に勝ち、濕は肉を傷り、風は濕に勝ち、甘は肉を傷り、酸は甘に勝つ。

新ロゴ鍼灸院.jpg