鍼灸医学の懐

黄帝内経の意訳と解説 最後に原文と読み下しを記しています。

辨太陰病脉證并治 273~280条

 志ある学徒の、簡便な道具にならんことを願って読み下し文を記しています。

 また初学者のため、重複の労をいとわずルビをふっています。

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 底本 趙開美刊 「仲景全書」所収 『傷寒論』十巻

                    日本漢方協会学術部 編 東洋学術出版社

 

     辨太陰病脉證并治 273~280条

                          第十(合三法方三首)

         太陰病の脉證并(なら)びに治を辨(べん)ず・第十(合わせて三法、方三首)

 

【二七三条】

太陰之為病、腹滿而吐、食不下、自利益甚、時腹自痛。若下之、必胸下結鞕。

太陰の病為(た)るや、腹滿して吐し、食下らず、自利(じり)益々甚だしく、時に腹自ら痛む。若し之を下せば、必ず胸下結鞕(けっこう)す。

 

【二七四条】

太陰中風、四肢煩疼、陽微陰濇而長者、為欲愈。

太陰の中風、四肢煩疼(はんとう)し、陽微(び)陰濇(しょく)にして長の者は、愈(え)えんと欲すと為(な)す。

 

【二七五条】

太陰病欲解時、從亥至丑上。

太陰病解せんと欲する時は、亥(い)從(よ)り丑(うし)の上に至る。

 

【二七六条】

太陰病、脉浮者、可發汗、宜桂枝湯。方一。

太陰病、脉浮の者は、汗を發すべし、桂枝湯に宜し。方一。

 

〔桂枝湯方〕

桂枝(三兩去皮) 芍藥(三兩) 甘草(二兩炙) 生薑(三兩切) 大棗(十二枚擘)

右五味、以水七升、煮取三升、去滓、温服一升、須臾啜熱稀粥一升、以助藥力、温覆取汗。

桂枝(三兩、皮を去る) 芍藥(三兩) 甘草(二兩、炙る) 生薑(三兩、切る) 大棗(十二枚、擘く)

右五味、水七升を以て、煮て三升を取り、滓を去り、一升を温服す。須臾(しゅゆ)に熱稀粥(ねつきしゅく)一升を啜(すす)り、以て藥力を助け、温覆(おんぷく)して汗を取る。

 

【二七七条】

自利、不渴者、屬太陰、以其藏有寒故也、當温之。宜服四逆輩。二。

自利して、渴せざる者は、太陰に屬す。其の藏に寒有るを以ての故なり。當に之を温むべし。四逆輩(しぎゃくはい)を服すに宜し。二。

 

【二七八条】

傷寒脉浮而緩、手足自温者、繫在太陰。太陰當發身黄。若小便自利者、不能發黄。至七八日、雖暴煩下利、日十餘行、必自止。以脾家實、腐穢當去故也。

傷寒、脉浮にして緩、手足自ら温かき者は、繫(かか)りて太陰に在り。太陰は當に身に黄を發すべし。若し小便自利する者は、黄を發すること能わず。

七、八日に至りて、暴煩(ぼうはん)し、下利(げり)日に十餘(よ)行(こう)なりと雖も、必ず自ら止む。脾家實し、腐穢(ふあい)當に去るべきを以ての故なり。

 

【二七九条】

本太陽病、醫反下之、因爾腹滿時痛者、屬太陰也、桂枝加芍藥湯主之。大實痛者、桂枝加大黄湯主之。三。

本(もと)太陽病、醫反って之を下し、爾(そ)れに因りて腹滿し、時に痛む者は、太陰に屬するなり。桂枝加芍藥湯(けいしかしゃくやくとう)之を主る。大いに實痛する者は、桂枝加大黄湯(けいしかだいおうとう)之を主る。三。

 

〔桂枝加芍藥湯方〕

桂枝(三兩去皮) 芍藥(六兩) 甘草(二兩炙) 大棗(十二枚擘) 生薑(三兩切)

右五味、以水七升、煮取三升、去滓、温分三服。本云桂枝湯、今加芍藥。

桂枝(三兩、皮を去る) 芍藥(六兩) 甘草(二兩、炙る) 大棗(十二枚、擘く) 生薑(三兩、切る)

右五味、水七升を以て、煮て三升を取り、滓を去り、温め分かち三服す。本(もと)云う、桂枝湯に今芍藥を加うと。

 

〔桂枝加大黄湯方〕

桂枝(三兩去皮) 大黄(二兩) 芍藥(六兩) 生薑(三兩切) 甘草(二兩炙) 大棗(十二枚擘)

右六味、以水七升、煮取三升、去滓、温服一升、日三服。

桂枝(三兩、皮を去り) 大黄(二兩) 芍藥(六兩) 生薑(三兩、切る) 甘草(二兩、炙る) 大棗(十二枚、擘く)

右六味、水七升を以て、煮て三升を取り、滓を去り、一升を温服し、日に三服す。

 

【二八〇条】

太陰為病、脉弱、其人續自便利、設當行大黄、芍藥者、宜減之、以其人胃氣弱、易動故也(下利者先煎芍藥三沸)。

太陰の病為(た)るや、脉弱、其の人續(つづ)いて自ら便利す。設(も)し當に大黄、芍藥を行(や)るべき者は、宜しく之を減ずべし。其の人胃氣弱く、動じ易きを以ての故なり(下利する者は先ず芍藥を煎じて三沸す)。

 

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