鍼灸医学の懐

主に黄帝内経の意訳と解説 最後に原文と読み下しを記しています。その他、随時古典資料を追加しています。

10.手少陽 三焦

   志ある学徒の、簡便な道具にならんことを願って読み下文を記しています。

 また初学者のため、重複の労をいとわずルビをふっています。

 誤りを見つけられましたら、どうかコメント欄に投稿をお願いいたします。

  底本 『霊枢』明刊無名氏本『新刊黄帝内経霊枢』日本内経医学会所蔵

 

正經

三焦手少陽之脉.起于小指次指之端.上出兩指之間.循手表腕.出臂外兩骨之間.上貫肘.循臑外.上肩而交出足少陽之後.入缺盆.布中.散絡(落)心包.下膈.循屬三焦.

其支者.從中.上出缺盆.上項.繋耳後.直上出耳上角.以屈.下頬.至

其支者.從耳後.入耳中.出走耳前.過客主人前.交頬.至目鋭眥.

三焦手少陽の脉、小指の次指の端に起り、上りて兩指の間に出で、手の表腕を循(めぐ)り、臂外(ひがい)兩骨の間に出で、上りて肘を貫き、臑外(じゅがい)を循(めぐ)り、肩に上りて①足少陽の後に交わり出で、缺盆に入り、膻中に布き、散じて心包を絡(まと)(落)い、膈を下り、循(めぐ)りて②三焦に屬(ぞく)す。

其の支なる者は、膻中より、上りて缺盆に出で、項を上り、耳後に繋(つな)がり、直(ただ)ちに上りて耳の上角に出で、以て屈して頬を下り䪼(せつ)に至る。

其の支なる者は、③耳後より耳中に入り、出でて耳前に走り、客主人の前を過ぎ、頬に交わり、目の鋭眥(えいし)に至る。

【解説】

① 足少陽の後に交わり出で:足少陽と交差して大椎穴で交会する。

② 三焦に屬す:この他、三焦下合穴:委陽穴

③ 耳後より耳中に入り:外耳など、比較的浅い部分。

 

正經病症

是動則病耳聾渾渾焞焞腫喉痺.

是主氣所生病者.汗出.目鋭眥痛.頬痛.耳後肩臑肘臂外皆痛.小指次指不用.

是れ動ずれば則ち病む。耳聾(じろう)して①渾渾焞焞(こんこんとんとん)たり。嗌(のど)腫れ喉痹(こうひ)す。

是れ氣を主として生ずる所の病の者は、汗出で、目の鋭眥痛み、頬痛み、耳後、肩、臑(じゅ)、肘、臂(ひ)外皆痛み、小指の次指用いず。

【解説】

① 渾渾焞焞:渾:にごる、おおきい 焞:盛大。耳鳴りが大きくひどいさま。もしくは、モヤモヤとして中にこもり、曖昧模糊とした様子。

 

經別

手少陽之正.指天.別于巓.入缺盆.下走三焦.散于胸中也.

手少陽の正、①天を指し、②巓(てん)に別れ、缺盆に入り、下りて三焦に走り、胸中に散ずるなり。

【解説】

① 天を指し:上行する。

② 巓:百会穴。

 

經筋

手少陽之筋.起于小指次指之端.結于腕中.上循臂結于肘.上繞臑外廉.上肩走頚.合手太陽.

其支者.當曲頬.入繋舌本.

其支者.上曲牙.循耳前.屬目外眥.上乘頷.結于角.

手少陽の筋、小指の次指の端に起り、腕中に結び、上りて臂(ひ)を循(めぐ)り肘に結び、上りて臑(じゅ)の外廉を繞(めぐ)り、肩に上り頚に走り、手太陽と合す。

其の支なる者は、曲頬(きょくきょう)に當(あた)り、入りて舌本に繋(つなが)る。其の支なる者は、曲牙(きょくが)を上り、耳前を循(めぐ)り、目の外眥(がいし)に屬(ぞく)し、上りて頷(がん)に乗(じょう)じ、角に結ぶ。

 

經筋病症

其病當所過者.即支轉筋.舌卷.

其の病、過ぎる所に當(あた)る者は、即ち支(つか)え轉筋(てんきん)し①舌巻く。

【解説】

① 舌巻く:舌が巻き上がる。舌に流注しているすべての臓腑に影響する。

 

絡脈

手少陽之別.名曰外關.去腕二寸.外遶臂.注胸中.合心主.

手少陽の別、名づけて外關(がいかん)と曰く。腕を去ること二寸、外は臂(ひ)を遶(めぐ)り、胸中に注ぎ、心主に合す。

 

絡脈病症

病實則肘攣.虚則不收.取之所別也.

病實すれば則ち肘攣(れん)し、虚すれば則ち収(おさ)まらず。之(これ)を別れる所に取るなり。