また、クーラーなどの冷えた場所で、あまり汗をかかない
でいると、代謝が悪くなり、本来排泄されるべきものが体内
にため込むことになります。
その状態で図のように秋になり、自然界の気が引き締
めに働くようになって来ると、夏の間にため込んだ排泄され
るべき邪気が、発熱・咳という形で排泄しようとします。
秋の花粉症も同様です。
ちょうど、雑巾が絞られるようなイメージですね。
現代人は、クーラーの効いた場所で、冷たいものを飲み
食いするので、かつての時代には無かった様々な珍病・奇
病が現れます。
黄帝内経が著された時代と現代とでは、生活環境が大
きく様変わりしていますが、自然という人体の生理機能は、
太古のままだと認識して下さい。
では、原文の意訳です。
夏の季節、すなわち立夏から立秋までの3カ月を蕃秀
(ばんしゅう)と称し、この季節は芽が上に勢いよく伸びようと
するように、天地陰陽上下の気の交流が盛んとなるので、
万物は華やいだように花を咲かせ実をつける季節である。
この時期は、芽を出した植物があっという間に伸びる様
や鳥や虫たちも盛んに飛び交う様子に象徴される。人もま
た、海や山に出かけたくなるような気持ちになるものである。
この時期の太陽の動きに応じて、少し遅く寝て早く起き、
日の長さや暑さを嫌うことのないようにするのが良い。、
夏は炎暑で気が上に激しく昇るので、気持ち的には怒っ
てさらに気が昇らないようにするべきである。
花々が勢いよく十分に成長して花を咲かせるように、人
も同じように活発に動いて汗と共に気を発散させるのが良い。
精神的には、恋人が外で待っているかのように、心を弾ま
せて外に出かけるようにし、内にこもることのないように心掛
けるのがよい。
この自然界の夏気の気の状態に応じて、成長・発散を意
識した生活・心持が、自然の理に適ったことなのである。
この自然界の法則に逆らえば、心の臓を傷ることになる。
秋になって、人体の肌表が閉じるようになると、発熱と悪
寒が交互に繰り返すような痎瘧(がいぎゃく)という病になる。
この状態に陥ると、秋の結実の気を受けることが出来なく
なる人が多い。
そうなって冬季になってしまうと、さらにいろんな病気に罹る
ようになってしまうのである。
原文
夏三月.此謂蕃秀.天地氣交.萬物華實.夜臥早起.無厭於日.
使志無怒.使華英成秀.使氣得泄.若所愛在外.此夏氣之應.
養長之道也.
逆之則傷心.秋爲痎瘧.奉收者少.冬至重病.
夏三月、此を蕃秀(ばんしゅう)と謂う。天地の氣は交り、萬物は華(はな)
さき實のる。夜臥して早く起き、日を厭(いと)うことなかれ。志しをして怒
ること無さしめ、華英をして成秀ならしめる。氣をして泄らすを得せしめ、
愛する所外に在るが若くす。此れ夏氣の應、長を養うの道なり。
これに逆えば則ち心を傷る。秋に痎瘧(がいぎゃく)を為す。收を奉ずる
者少なし。冬に至りて重ねて病む。