この段においては、天人相応思想を、具体的な事例を用いて説いている。
荒唐無稽なこじつけと、捉えてしまえば、すべては台無しである。
現象を通じて現象を起こしている、目には見えない気の動きをイメージとして掴み、
これをあらゆるものに応用したのが、東洋医学である。
原 文 意 訳
そして天地の動静は、直接目には見えないが、明らかにそれと分かる神が、しめくくり、主っているのである。
巷では、ただ賢人と称される人のみが、上は天にならって頭を養い、下は大地の在りようにならって足を養い、上下の中は、人間としてなすべきことに従って五臓を養うのである。
故天有精.地有形.天有八紀.地有五里.故能爲萬物之父母.
清陽上天.濁陰歸地.是故天地之動靜.神明爲之綱紀.故能以生長收藏.終而復始.
惟賢人上配天以養頭.下象地以養足.中傍人事以養五藏.
天氣通於肺.地氣通於嗌.風氣通於肝.雷氣通於心.谷氣通於脾.雨氣通於腎.
六經爲川.腸胃爲海.九竅爲水注之氣.
以天地爲之陰陽.
陽之汗.以天地之雨名之.
陽之氣.以天地之疾風名之.
暴氣象雷.逆氣象陽.
故治不法天之紀.不用地之理.則災害至矣.
故に天に精有り。地に形有り。天に八紀有り。地に五里有り。故に能く萬物の父母と爲す。
清陽は天に上り、濁陰は地に歸す。是れ故に天地の動靜、神明の綱紀と爲す。故に以って能
く生長收藏し、終りて復た始まる。
惟賢人は上は天に配し以って頭を養い、下は地に象どり以って足を養い、中は人事に傍(そ
う)て、以って五藏を養う。
天氣は肺に通し、地氣は嗌に通ず。風氣は肝に通じ、雷氣は心に通じ、谷氣は脾に通じ、雨
氣は腎に通ず。
六經は川と爲し、腸胃を海と爲し、九竅は水注の氣と爲す。
以って天地の陰陽と爲す。陽の汗、天地の雨を以ってこれを名づく。
陽の氣、天地の疾風を以ってこれを名づく。
暴氣は雷に象どり、逆氣は陽に象どる。
故に治するに天の紀に法らず、地の理を用ざれば則ち災害至るなり。