鍼灸医学の懐

主に黄帝内経の意訳と解説 最後に原文と読み下しを記しています。その他、随時古典資料を追加しています。

傷寒ー伝変不常 巻之二

 本文は、近世漢方医学書集成18・19の「叢桂亭医事小言」(1)(2)を底本としたもので、できるだけ原書に忠実であるよう努めながら、以下のように改めてテキスト化したものである。

  

  1.原文中のカタカナを平仮名に書き換え、現代語に近くなるようにした。

  2.おくりがなは、現代文に通じるように改めた。

  3. 原文中の漢文は、読み下し文に改めた。

  4.文集のカタカナのルビは原文の記載をそのまま記載した。

  5.筆者ルビは、ひらがなで記載した。

  6.句点は、筆者の読みやすき所に置いた。

  7.本文中の引用箇所は、筆者がこれを追記し括弧でくくって表記した。

 

伝変不常

 

 戦汗自汗より解するは、前に云し如くなれども、竟(つい)に少汗も無く胃に伝えて自汗そそぐが如く、或は渇強く白虎を用いて戦汗し解す有り。

 胃気壅鬱して必ず下剤を用いられて戦汗するも有り。表は汗より解したれども裏邪の残りが有る故、何のわけも無しに五三日も過て前証再発するも有り。

 飲食のさわりたるの風寒を冒したらん抔(など)と看病人を咎むれども左に非ず。胃中に残りたる邪の復(また)聚りたるなり。

 下されて発黄するも有り、発斑して解するも有り。又裏証で居ながら発斑して下さ子(ね)ば治せぬも有り。是は常変也。

 意を用いて見れば皆驚くほどのことにはなし。

 又男子淫欲を侵し、夫れに乗じて邪気下焦に陥て小便閉塞、小腹脹満、毎夜発熱して導赤散、五皮散の類、一向に効なきに大承気一服にて小便注ぐが如くに出て治する有り。

 或は失血後、経水の通閉、心痛、疝気、痰喘などの類、疫にさそわれ発すること有り。皆疫邪をとれば旧病は皆止む。その伝変常ならざるは皆人々の持ち前にて異なると知るべし。