本文は、近世漢方医学書集成18・19の「叢桂亭医事小言」(1)(2)を底本としたもので、できるだけ原書に忠実であるよう努めながら、以下のように改めてテキスト化したものである。
1.原文中のカタカナを平仮名に書き換え、現代語に近くなるようにした。
2.おくりがなは、現代文に通じるように改めた。
3. 原文中の漢文は、読み下し文に改めた。
4.文集のカタカナのルビは原文の記載をそのまま記載した。
5.筆者ルビは、ひらがなで記載した。
6.句点は、筆者の読みやすき所に置いた。
7.本文中の引用箇所は、筆者がこれを追記し括弧でくくって表記した。
内雍不汗
伝変は色々なれども半表半裏と云うが、十に七八なる者なり。
表証の有るにひかれ、汗をせむるに解せず。
夫れ発汗の理は内より表へ達するものなり。
邪気、内に結して有る故に、表へ出ることならず。
たとえば足を縛りたる鳥の如し。飛升(とびのぼ)らんと欲しても、飛ぶことならず。
蓋(けだ)し鳥の飛ばんとするときは、身を伏して先ず足を縦(ユルメ)て、而(しかし)て翅(ツバサ)を揚て飛び出す。
是れ戦汗の理も同意なり。
又水入(みずいれ)の後の穴を閉ずれば一滴も出ず。発汗の義は是に同じ。得と裏邪の結びたるを見定たらば、承気の主方としるべし。
裏気一たび通ぜば、発汗に及ばずして汗出るなり。